トイレットペーパーが突然店頭から消滅
それは2020年2月28日の出来事でした。
新型コロナウィルスという言葉がじわじわと浸透してきた冬のある日。
私は3月1日に控えた大売出しの準備に追われて売場とバックヤードの往復。そんな時出勤してきたパートさんからこんなことを言われました。
なんか今トイレットペーパーが無くなるって買い占めが起こってるらしいよ。
ええ……なんですかそれ……
このパートさん、店頭からマスクが消える直前にも同じようなことを言っていた情報通。
その時は、へえ、そうなんだー、程度に軽く受け流しておりました。しかし確かに昼頃からじわじわと、特売のトイレットペーパーが売れていきます。
そして午後6時頃、売場はパニックに
その日の夕方、特売のトイレットペーパーが全て売れてしまって特売場が空いてしまいました。
3月1日の特売の商品はまだ入荷していないし、何か売場を埋めるものは無いかとバックヤードを見回すと、結構トイレットペーパーの在庫があったので
定価だから売れないだろうけど、とりあえずこれ出しとくか。
と並べることに。
ところが陳列したそばからどんどんお客様が奪うように買っていくのです。
在庫を適当に売場に持って来ているので、まだ値札も出していません。お客様は値段も分からないままにトイレットペーパーを奪い合っています。
ウチにはお年寄りがいるのよ!!!!
うちにはまだ小さい子がいるから!!
と叫び喚きながらお客様同士がトイレットペーパーの在庫を奪い合うという地獄絵図……。
バックヤードの在庫を出し切り、あっという間にトイレットペーパー売場はすっからかん。

かれこれ1時間ほどトイレットペーパーの在庫を並べながらお客様の対応に追われる地獄の夜でした。
トイレットペーパーって無くなるんですか!?
いや私には分からないです〜(´;ω;`)
そして迎えた3月1日の大売出し
前日の2月29日は棚卸しのため、お店はお休み。
その日のチラシにはでかでかとトイレットペーパーの特売が掲載されておりました。
売場に大陳して、準備はばっちり。

しかし開店2時間前から既に店の前には長蛇の列が……。トイレットペーパー以外にも特売の商品はたくさんありましたが、朝8時の開店と共に店内は再びパニック状態に……。
あんなにあった商品が、売場が開店15分後にはこんな状態に……。

なぜトイレットペーパー騒動が起こったか
結論から言うと、
「トイレットペーパーが供給不足になる」
というのは全くのデマ。
SNSで「トイレットペーパーは中国で生産しているから新型ウイルスの影響で輸入できなくなる」という根拠の無い噂が拡散されたことによって起こったのが今回の騒動だったのです。
もちろん「噂はデマである」という情報もすぐに拡散されましたが、
それでも
①騙された人たちによって店頭からトイレットペーパーが無くなっては困ると買いに走った人、
②その様子を見て噂を知らずに焦って買い漁った人、
③この騒動に目をつけた転売ヤー
などが買い占めた結果、一時的にトイレットペーパーが店頭から消えるという現象に至ったという訳です。

過去のトイレットペーパー騒動
トイレットペーパー騒動といえば、1973(昭和48)年にオイルショックによる物資不足の噂が広まり、日本各地で起こったトイレットペーパーの買い占め騒動のことを思い出す方が多いのではないでしょうか?
こちらはとあるスーパーマーケットの特売広告のキャッチコピー「(特売によって)紙がなくなる!」という文言が消費者の誤解を産んだことが発端と言われています。
当時の噂は新聞広告と口コミで広がりましたが、メディアが変わっても同じような歴史を繰り返すとは、なかなか面白い事件ですね。
ただ、本当にこのタイミングでトイレットペーパーを切らしてしまったご家庭にとっては笑い事じゃなかったかもしれませんが……。
不運すぎる……
メディアの情報には気をつけよう
テレビやSNSでは毎日色々な情報が飛び交っています。
我々はそれらの取捨選択を出来る力を身につけていかなければいけませんね。
でも情報を素早くキャッチするのも大事!
コメント
2度と巻き込まれないように、我が家の天袋には、トイレットペーパーが10袋(笑)